のびしろと野心と

ジャニーズWESTさんのことや映画のこと。WESTさんののびしろと野心にほれ込みました。働く男はかっこいい。

『お嬢さん』がおもしろかったです

 

田園風景だらけの片田舎にある映画館なのですが、韓国映画『お嬢さん』がやってきたので見に行ってきました。R18指定。韓国ではR19。とにかくエロい。

本当は先月見た『哭声』の衝撃とか『葉問~継承~』のすばらしさとか下書きしていたんだけど形にならなかったのでそのままです

 

あらすじ:日本の統治下にあった1930年代の韓国。詐欺師たちの集団の手で育てられた少女スッキ(キム・テリ)は、伯爵の呼び名を持つ詐欺師(ハ・ジョンウ)から美しい富豪令嬢・秀子(キム・ミニ)のメイドという仕事をあてがわれる。スラム街から彼女とそのおじが暮らす豪邸に移ったスッキだが、伯爵は彼女の助けを得て秀子との財産目当ての結婚をしようと企んでいた。結婚した後に秀子を精神病院に送り込んで財産を奪う計画を進める伯爵だが……。 (yahoo映画情報より)

 

あらすじ読んでから行ったと思うんだけど、ぜんぜん頭に残ってなかった程度に、一見ありふれている。でも、これ超官能的。

 

出てくるのが『日本人になりたかった韓国人』『韓国で育てられた日本人』『日本語を使いこなす韓国人詐欺師』と、バックボーンが複合的すぎて、そりゃ一筋縄ではいかないよなと。

 

そういう演技(それっぽいエロス)ってやろうと思えばいくらでもやりすぎることってできると思うんですが、それを抑える「技」みたいなものがこれはあって。さすがパク・チャヌク監督。

主要な俳優陣は全部韓国人なんだけど、セリフの半分くらいが日本語。母国語ではない言葉で語らせることで、余計なニュアンスを加えた演技(それっぽいエロス)が省かれて、その抑圧というかフィルターが、官能を引き出しているような気がした。

実際、パンフレットの監督インタビューを読んだら、韓国人にとっても日本人にとってもおもしろくなる仕掛けとして計算されていたんだなと、なるほど監督の思惑通り。

 

日本建築と西洋建築がつながったお屋敷もおもしろい。

窓のない日の当たらない部屋で、照明の力でうかびあがる色彩の美というか。こもった空気や湿度まで官能的。明らかにからっとした美ではない。『ムーラン・ルージュ』とか『華麗なるギャッツビー』の衣装デザインでアカデミー賞取ったキャサリン・マーティン的なそれではなく、すすけた風景の中にある、上質な生地の質感や彩度の高い色って、なんともぐっときます。お金、かかってる。

 

インタビュで、監督が原作を読んで「活字で終わらせるのはもったいない」と映画化になったとあって。そういう自信と才能と資本が揃っているのが今の韓国なのかな。資本の面では韓国映画産業界の規模が大きくなったことに助けられた(意訳)と仰っているし。日本でそういう言葉は出るかな。むずかしそうだな。むしろクラウドファンディングで映画を撮るということが、わたしみたいな超ど素人にも認識のひとつになってるくらい。

優れてる劣ってるではなくて、たぶん環境が全然違うんだろうなと。

NHKの『アナザーストーリー』という番組で冬ソナについて考察している回があったんだけど、冬ソナの話にとどまらず、韓国のコンテンツ産業がどうしてこんなに伸びたかというところまでつっこんでいて、見ごたえがあった。

キム・デジュン大統領時代(90年代の終わり)に、政府主導で映像産業に力を入れて、法律を作ったり、大学を作ったり、制作会社への融資なんかも優遇したらしい。制作会社は一気に増えて、切磋琢磨する。それから20年弱、韓国のコンテンツ産業は本当に強いなあと思う。

見る側も鍛えられてるんだろうなと。日本だったら、視聴者置いてけぼりだろうっていうテンポや、わかりやすさに媚びない脚本、結構頭フル回転でみるようなドラマ、映画も多い。あと、役者さんが大学で演劇を学んだ人が多い印象がある。セオリーが頭に入っている方が、多いのかなと。日本はわりと「憑依型」みたいに言われる人が多いと思うのだけど。繰り返しますが良し悪しではなくて、隣の国だけど、本当にスタンスが違うなあということです。

 

まとまりませんね。全然。でも、先月は『哭声』今月は『お嬢さん』と濃厚な韓国映画をこんな田舎でも見られたので、脳が覚醒しました。ありがとうございます。

『おーさか☆愛・EYE・哀』と全く関係ない『ラ・ラ・ランド』

6/2の少クラのWESTの藤井さんと小瀧さん、80年代のロックアイドルみたいじゃないですか。金髪で前髪長め。ぎらぎらした目つき。最高です。昨日BSプレミアムで『トップガン』を流し見していたんですけど、藤井さんってトム・クルーズに似てるなと思いました。そっくりというわけではないんだけども、見ているとどうしても頭をよぎる程度には似ている。

ジャニーズWESTの新曲『おーさか☆愛・EYE・哀』が物議をかもしていますが、わたしはすごい好きで、発売前のラジオ音源をこんなにリピートしたのは『ボクら』と『CHO-EXTACY』ぶり。80年代を意識したダサカッコよさがどう転ぶか、多くのファンが不安そうですが、わたしは良い方に転ぶんじゃないかと思います。だって音がすごいかっこいいから。プロデューサーはあの松尾潔さん。私事ですが、はまこた(濵田×小瀧)の『雪に願いを』を聴いて「松尾さんにプロデュースしてほしいなあ」と思ってブログにも書いたので、

ジャニーズWEST『なうぇすと』におけるメンバーの歌唱について - のびしろと野心と

情報が流れた時、びっくりしてぶっとんだんですが。松尾さんといえば、個人的にはASAYANでケミストリーを発掘した方。そしてケミストリーといえば、00世代のJPOPにとって大きすぎる存在。その松尾さんです。しかも!しかもですよ『おーさか☆愛・EYE・哀』の編曲は豊島吉宏さん。何を隠そう、松尾さんとタッグを組んで作ったのが、ケミストリーの『You Go Your Way』ですよ。サイコー。『You Go Your Way』サイコー。

『おーさか~』はギターの歪みとか、カッティングの感じとか、音の作り込みがオシャレなんですよね。(歌謡曲風味なのも込みで)まだラジオ音源なので、早くCDで聴きたいな。JUMPとかセクゾとか、音がきれいで羨ましいなあとは常々思っていたので、今回は音作りにかなりお金かけてもらえたのかな~と、期待しています。

ちなみに肩パット衣装が一番似合ってるのは、神山智洋さんです。

クールでかっこいいものを期待する気持ちも、なんとなく分かるけど、如何せんわたしの中でWESTは「ぎらぎらした野心」が核なので、荒削りでもぶっとんでてても、熱量が伝わってくればほれぼれしてしまう、みたいなところがあります。80年代ってギラギラしてるから親和性あるなあと。ちなみにイメージですけど、関ジャニ先輩は70年代っぽい。骨太な感じが。WESTがディスコなら関ジャニはキャバレーみたいな。すばるさんが出ていた『味園ユニバース』のモデルになった赤犬のライブに行ったことがあって、場所が鶯谷東京キネマ倶楽部だったんだけど、そこは昔高級キャバレーだった場所で、雰囲気がすてきだったな。そして赤犬ライブはすごい面白かったです。超エンターテインメント。惚れた。

しかし、ワイドショーとかの「MVにはサラリーマンとサンバダンサーが参加」っていう字面にはパンチがあって。なんでサンバダンサー。丁度そのころ『ラ・ラ・ランド』を見たので、「サンバとタパスの店」のことが頭をよぎりました。サンバは悪くないよ。

ぜんぜん関係ないけど、『ラ・ラ・ランド』の話もしたいんですが。あの余韻、何かに似てると思ったら、『シェルブールの雨傘』でしたね。数日間、なんだろうなんだろうこの感じ、と思っていて、遅ればせながら宇多丸さんのムービーウォッチメンの書き起こしを読んで腑に落ちました。毎度デミアン・チャゼル監督へ当たりが強い(笑)菊地成孔さんも、その点は指摘されていましたが。「もしもあの時」の描写がさわやかなそれって、いいですよね。とっても良い。多分、一歩進めたところからの視点だから。自分はすでに決断したところから振り返る過去。そこに未練はあんまりなくて。思考も想像も解放されていて、だから美しい。というか、一歩進めた姿こそが、清々しく感じたのかもしれません。わたしは『かぐや姫の物語』のことも思い出したのですが。かぐや姫と捨丸が空飛ぶシーン。高畑勲監督の哲学は好きだなあ~。個人的にジブリナンバーワンの『おもひでぽろぽろ』(勲作品)も過去を昇華していく話だったし。

次は、今回の少クラについてもうちょっと書きたいと思います。24魂はまだDISC1までしか到達してない~。

『PとJK』と岡村靖幸さんの『聖書』

30代の亀梨さんの魅力

PとJK』はずっと見ようと思っていました。私が住んでいる田舎の映画館だと上映作品が超限られていて、個人的な嗜好としては、ばっきばきの暴力描写が冴えわたる闇社会にまみれた男たちが活躍する韓国映画の類や、アジアのアクション映画がもっと来てくれたらいいなとは思っていますが、まったくもって無理でしょう。

そんな中でも、観たかったのがPとJK

わたしは少クラプレミアム出のKAT-TUNウオッチャーなので、アラサーあたりからの亀梨さんの落ち着き払った感じがとてもツボです。ぎらぎらした感じを経ての今。個人的な食指に亀梨さんの色気は特別ひっかからないのですが、色気云々というより、人間としてある段階のなにかを悟ってしまったような落ち着きがたまらないです。朴訥なしゃべり方とか真面目すぎる視点とか、それでいて機転の利いたこともアドリブで行けるかんじ、とても信頼している。

あと、土屋太鳳ちゃんがとてもすき。わたしは『まれ』好きだったんですよね~。みんな(特に若者たち)が切実に生きていた。荒削りだったし展開についていけない云々の声はあったけども、私としてははっとするような心理描写がいっぱいあったんだよな~。そういう機微をみずみずしく演じていた太鳳ちゃんも、すくいとってくれた周りのキャストも素敵だったな~とおもっている。

まあそんな感じで、二人に好感があったのと、雰囲気が想像できるという安心感から。そして、太鳳ちゃんの両親役がともさかりえさんと村上淳さんだと知って興味がわいたところに、ともさかりえさんの離婚報道。ともさかりえさんのキャリアには疎いんですが、文章が好きです。ママタレになってもきらきらを演じすぎない(かといって庶民アピールもしない)彼女の等身大の感じが。

そんなこんなで見に行きました~。(ここまでが超長いな)

 

二宮さんの『青の炎』

おもしろかったです。やっぱり太鳳ちゃんの一挙一動がみずみずしくて。大写しになる泣き顔はあまりの美しさにこころがふるえた…。亀梨さんのナチュラルな夫っぷりや太鳳ちゃんを慈しむようなまなざしも良かったし、まっすぐすぎる感じもパーソナルイメージとかぶりました。そして高杉真宙さんが映ると画面の明度がぐいっと上がるような光り輝く魅力があった。どういうことだ。顔面がレフ板…。西畑大吾さんも女子とつるむDK役がかわいくて、高校生活楽しそうだな~と思いました。

あと、若干ネタバレですが、亀梨さん演じるP(警察官)がいきなりキレるシーンがあるんですけど、わたしああいうの大好物で。二宮さんが『青の炎』でゲスな親父に声を荒げてキレるシーンがあるんですけど、ほんとサイコー。いきなり豹変する演技にぞくっとさせられて楽しくなってうれしくなって笑いがこみあげました。もっとやれ。予定調和な終わり方も、そういうものとしてみれば問題なし。

 

廣木隆一監督といえば『ヴァイブレータ

それにしても廣木隆一監督って近年胸キュン系映画をいっぱい撮っててすごいなと思います。私の中では寺島しのぶさんの『ヴァイブレータ』とか『やわらかい生活』のイメージが強くて、さらに遡るとピンク映画出身だし、とにかく幅広いなと。

 

PとJK』と靖幸ちゃん

個人的に勝手に期待していた楽しみ方と外れていたのは、亀梨さんが26歳の設定だったことです。これは原作を知ってれば当然のことなんだろうけども、冒頭の通りわたしはアラサー(今となっては30代)の亀梨さんが好きなので、30代特有の一定の落ち着きというか諦めをまとった人物設定ではないのか、というのが、せっかくの亀梨さんなのにもったいないな?と一瞬思ったのですが、まあ改めて考えれば、16歳と三十路では、さすがにあれか、JK側から見てあんまり夢がないか、と思った。

大好きな岡村靖幸さんの「聖書(バイブル)」という曲では、主人公「俺」の好きな女子(高校の同級生)の彼氏が35歳(妻帯者)の中年であることを知り「なんで?!俺なんて!バスケットボール部だし!実際青春してるし!背が!179!!」って嘆いていました。35は中年。

 

それから、亀梨さんが完全にオーラを消して微妙な合コンパーティーに出ていたり、微妙なシャツコーデを貫いていたのはとても好感が持てる演出でした。亀梨さん万歳!

 

いずれにしても映画館で映画を見るっていうのは楽しいことです。次は何について書こうかな。未定。いつか自分の好きな「色気」について考察してみたいです。

『僕らのごはんは明日で待ってる』にいるジャニオタの化身

 映画はやっぱり映画館で見たい!とはいえ、我が家の近くにある劇場はイオン系列でもTOHO系列でもなく田舎の映画館なので、集客見込める作品しか来ないし、来るのも遅いし、まあ小さい街だからないものねだりなんだけどね。

今年は、遅ればせながらやってきた『湯を沸かすほどの熱い愛』『この世界の片隅に』『聖の青春』と濵田さんが出演している『破門』、昨日『僕らのごはんは明日で待ってる』を見に行きました。

僕らのごはん~、いろいろ面白かったので紹介したい。

 

僕らのごはんは明日で待ってる

無口で他人に無関心な高校生・葉山亮太(中島裕翔)は、明るく率直な同級生の上村小春(新木優子)と体育祭の競技「米袋ジャンプ」でコンビを組む。1位を獲得して亮太が喜んでいると、突然小春から告白され戸惑うものの、いつしか彼女に惹かれていく。二人は、ファストフードやファミレスで食事をしながら交際を続けるが……。(yahoo映画より)

 

感想の前に見に行った経緯なんですが

違う映画を見にいった時、予告で流れてきてぼんやり「純愛胸キュン系か」とスルーしていたんだけど(失礼)、何度目かの時に、原作:瀬尾まいこ 監督:市井昌秀というのを見て「えええええ!!!」となりまして。原作瀬尾さんなの?!市井監督って『箱入り息子の恋』じゃん?!好きだよ!と覚醒して、見に行くことを決意しました。

原作者の瀬尾まいこさんの小説、とても好きです。これは読んでなかったんですが、彼女の話はとても淡々としてるんだけど、主人公を甘やかしすぎないというか、ちゃんと失うものは失わさせるし、他力本願じゃハッピーエンドなんてやってこない。弱った心に人の優しさは染み入るし、感謝もするけど、それだけじゃ自らのハッピーエンドは開けないよね、という厳しさがちゃんとあるというか。

会話劇
とにかく二人がある意味説明口調っぽい会話を連ねながら、年月が過ぎていくんですよ。高校生から大学生(短大生)そして就職、と。意外と会話劇。会話の中で相手の言ったことを受け流したり、流せなかったものは立ち止まって聞き返したり、指摘したり、ハッとしたりしながら、とにかく淡々と、会話することによって、お互いの理解を深めていくし、自分自身の理解も深めていく。結果的に「自分探し」をしているのだけど、いわゆる「自分探しの旅」みたいなものを神格化しないのは、瀬尾さんらしい。ずっとテンポを保ったまま、こんなに丁寧に日常を描いてくれる映画って、なかなかないと思います。テンポが崩されなかったから、見終えたあとも同じ時間がまだ流れているような感じで、じんわりと、あたたまっていくような幸せを感じました。不思議な感覚。

ジャニオタの化身
個人的に面白かったのは、二人が別れたとき、葉山君は美山加恋ちゃん演じる大学の後輩と付き合うんだけど、この美山加恋ちゃんがすごい!芸達者だからなのか素なのかわからないくらい自然だったんだけど、その存在感が、超ジャニオタの化身で。量産型の若者過ぎて、こういう感じのひとコンサートにいるよね?!って
いう。美山加恋ちゃんが超かわいいのは承知の上ですのであしからず。それなのに、監督の狙いなのか、佇まいが完全にジャニオタのそれで、美山加恋ちゃんがいるシーンだけ『葉山君』が『Hey!Say!JUMPの中島裕翔さん』に見えてしまい、ひやひやしてしまうほど、軽くホラーであった。これは皆さんにも体験していただきたいです。
そしてきっとケンタッキーフライドチキンが食べたくなると思います・・・。

『君の名は。』は監督のノベライズを読まないと超もったいない

初めてみたとき、わたしはびっくりして涙がポロポロと。終わってもどきどき、足が竦む思いで、このまま車運転して大丈夫かな、とちょっと思った。アニメに親しんでこなかったので、甘く見てたんだなあ。ごめんなさい、と思ったのでした。

びっくりした、というのは、仕事で突然見に行くことになったので、期待とか含めて、全然心の用意がなかったこともあるかな。

それから、監督の書き下ろし小説を読んで、映画に出てきたいろんな風景、それぞれの意味、みたいなものが、ちゃんと新海監督の言葉で書かれてれていて答え合わせみたいな感覚になりました。映画をごらんになったら、ぜひぜひ小説をおすすめします。読み終えて放心状態だったけど、あとがきに救われた。

東京の切り取りかたが、すごい好きだったのですが、ちゃんと根拠があって、うれしい。

後日、新海監督に取材&舞台挨拶に伺う機会があって、東京の描きかたについてはもっと理解が深まりました。

映画では、結構あたたかいものとして東京の風景が描かれているなと思ったんです(殺伐とかかっこいいとかキレイっていうよりあたたかい)。そのあたたかさの正体は小説にあったんだけど、監督が長野から上京したときは、東京って汚いなーと思ったそうで。でもそこで仕事するうちに、東京だから出会えて好きになったひとたちも増えてきて。そうなったとき、東京で生まれ育った誰かの身体を通して見た風景、に関心をもったそう。自分が見えてる風景とは違うかもと。自分の好きなひとたちが見えている景色なら、なんだか東京が好きになれた、みたいなことを仰ってました。

ちなみに小説は、脚本を書き終えてから執筆されたそうです。だから、原作ではなくノベライズ。わたしは監督自らのノベライズてすごい贅沢な産物だと思っています。西川美和監督が『ゆれる』を撮った後ノベライズしているのですが、行間を読むつくりの映画に対して、小説は登場人物の手記形式で、これはほんと、説得力があって、がつーんと衝撃だった。最後、思わぬ人の解説に救われた。こういう補完関係が成立しやすいので、原作小説とノベライズは、似てるけど、ちょっとアプローチが違うかなと思う。(とはいえ西川監督は自ら小説→映画というのもやっていて、それはそれでがっつり成立している)

『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督とか、『ぐるりのこと』の橋口亮輔監督はノベライズされてる作品があるので、セットで堪能してみようと思います。

それから、監督のお話で、脚本後に小説を書いたことで、思った以上にキャラクターの理解が深まったと。それは、アフレコで役者さんにキャラを説明したり要望だしたりするとき、すごく役に立ったと仰っていて、なるほど、と思いました。

試写会が7月にあってから、公開が待ち遠しくて、ほんとうにそわそわしていて。先日、やっと2回目の鑑賞。冒頭から感情振り切れました。

個人的に甘酸っぱいキュンキュン映画、みたいな謳い文句はなんとなく違和感があって、どちらかというと切実さからこみ上げる涙がだったので。瞬発力のあるキュンキュンだったら俄然『黒崎くんの言いなりになんてならない』に軍配が上がるかと。make my dayが流れるたびテンションアップしたあの日。

いまさらですが、見る前にあらすじ読んだときは、個人的にひかれるものがほとんどなくて。あらすじで魅力が伝わらない名作映画ってあると思うんですが、高岡奏輔さん×田畑智子さんの『さんかく』と、エドワード・ノートン×ナオミ・ワッツの『ペインテッド・ヴェール』に、『君の名は。』を加えたいと思います。

都会も田舎もどちらも正しくひとの住むところ。ひとりひとりの暮らしの集合体がその景色をつくっている。幻想も絶望もあるけど、救いだってある。それぞれの切実さが、ものすごい熱量を生んだのかなと、思っています。

『海よりもまだ深く』と池松壮亮さんについて

『海よりもまだ深く』が田舎町の映画館にも遅ればせながらやってまいりました。2008年の是枝作品『歩いても歩いても』のキャストを一部引き継いでいる今作。
阿部寛さんのダメ元夫、ダメ父っぷりはそつなくいらいらしたけどもこれは20年後くらいにみたらまた違うだろうな〜。今作も姉婿役で、安定の元男闘呼組高橋和也さんが出ていて、やっぱりテンション上がった。キャラうまいな〜。
これ、映画館で見たいなーと思っていたのは池松壮亮さんが出ているからなのですが、ほんとうにすてきな役者さんですね〜。ちなみに朝ドラ『まれ』の弟役だった葉山奨之さんがちらっと出てるんですが、この方も来年あたり躍進しそうだな〜と思っていて、池松さんと葉山さんが同じ画面の中で演技していて、テンション上がった〜〜!
ここ2,3年の映画(なので撮影は3、4年前)の、池松さんの20歳すぎの絶妙な不安定さと色気みたいなものといったら、見ているだけではらはらするもので。
角田光代さん原作の映画『紙の月』では宮沢りえさんと不倫する大学生だったり、『海を感じる時』では市川由井さんと濃厚に絡んでいたり、『愛の渦』では乱れたパーティーのお話だったり、いろんな監督としても、あの色気を放っておけないんだろうな~。
個人的には、泥沼感のない吉田修一さん原作の青春?映画『横道世之介』とか家族を題材にした『僕たちの家族』が、映画の中で生きている感じがありありとして、ふんわり年相応の色気が漂って、好きです。(出演作全部見たわけじゃないけどね)
2014年の主演舞台『ぬるい毒』は、今年芥川賞を取った本谷有希子さんの小説が原作なのですが、19歳から23歳の間を描いた、自意識と嫌味と悪意と無関心と独善が入り混じった頭の痛くなるような作品。翻弄する池松さんと覚醒する夏菜さんがすごい。舞台の鬼気迫る迫力ってすごい。ブログで前、SexyZoneの自意識

Sexy Zoneは自意識を持て余す - のびしろと野心と

について書いたけど、そういう若さが目の前で展開されていておののく。
秋に公開される西川美和監督の『永い言い訳』がたのしみです〜〜。俯瞰が徐々に崩れていくような西川映画が大好きなので、どんなふうに池松さんを使うのか、すっごい期待しています。

『海よりもまだ深く』
映画『海よりもまだ深く』予告編 - YouTube

 

元・男闘呼組 高橋和也さんが好き

映画を見ていて『ふいに出ているとテンションが上がる役者ランキング』があったら、トップに君臨しているな〜〜と最近気付いたのが、元・男闘呼組高橋和也さんです。高橋さんいいですよね〜。


歩いても 歩いても』の人当たりはいいけど当事者意識の薄い夫とか、『そこのみにて光輝く』の豪快にひとを操ろうとする人の鬼畜っぷりとか、伊丹十三監督の『マルタイの女』の宗教に心酔していいように使われる青年の痛々しさとか。高橋さんの演技は、役の後ろにあるその人となりの想像がぐわーっと広がるような、おもしろみがあるな〜〜と思うのです。

 

男闘呼組って、なかなかジャニーズの歴史で語られることが少ない(メディアは諸々の圧力があるだろうから別としても一般人の認識として)。バンドなので、野村義男さんや曽我泰久さんのTHE GOOD BYEの流れをくんでいるのかな?
去年少クラでA.B.C-Zが歌ってたグループサウンズ調の曲の作曲クレジットが曽我さんでびっくりしたのですが、えびファンの友人にきいたら、去年のABC座に出ていらっしゃったそうで。OBでそんなふうにつながっている人もいるんだな〜。と驚き嬉しくなりました。ちなみに昔のよっちゃんの映像とか見ると、Jr.の高橋海人さんに似てるなあと思います。


わたしは光GENJIの絶頂期、山本くんにお熱だったので、ローラースケートで遊んでたんですが、男闘呼組の記憶はないんです。ごめんなさい。
聖子ちゃんをはじめとしたアイドル全盛期の80年代を経た90年代って、反動でアイドルという体があまり受け入れられなかった時代なのかな。
永作博美さんがribbonだったり、篠原涼子さんが東京パフォーマンスドールだったり、アイドルはいたけど、その頃のわたしの記憶としてはC.C.ガールズとかセクシーでアゲアゲでハイレグ上等!みたいなお姉さんの方が、テレビで見かけていた気がします。バブリーですね。
90年半ばに安室ちゃんや華原朋美さんが出てきて、SPEEDが出てきて、活躍する女性歌手はその体を変えてきた。そしてやっと出てきたアイドルが、モー娘。なのかな?すごい大雑把だけど笑

 

まあ、ジャニーズについては、事務所にとってもファンにとっても、君臨していた光GENJIの存在が巨大過ぎたのもあるのかな。その後に、SMAPTOKIO、V6、KinKi Kidsとコンスタントにデビューはしているけど。
事務所にとって、複数のグループを抱えることは非効率、みたいな認識の時代もあったのかなーと。いまは成熟して共存もしているけど。そういう管理の方法は、きっと確立されてなかったんだね。今日は光GENJIの動画をたくさん見たのでセンチメンタルですよ。笑

 

ちなみにNHKの朝ドラに2回出ているジャニーズ(元を含める)は、高橋和也さんと西畑大吾さんのお二人だけだそうです。