のびしろと野心と

ジャニーズWESTさんのことや映画のこと。WESTさんののびしろと野心にほれ込みました。働く男はかっこいい。

『君の名は。』は監督のノベライズを読まないと超もったいない

初めてみたとき、わたしはびっくりして涙がポロポロと。終わってもどきどき、足が竦む思いで、このまま車運転して大丈夫かな、とちょっと思った。アニメに親しんでこなかったので、甘く見てたんだなあ。ごめんなさい、と思ったのでした。

びっくりした、というのは、仕事で突然見に行くことになったので、期待とか含めて、全然心の用意がなかったこともあるかな。

それから、監督の書き下ろし小説を読んで、映画に出てきたいろんな風景、それぞれの意味、みたいなものが、ちゃんと新海監督の言葉で書かれてれていて答え合わせみたいな感覚になりました。映画をごらんになったら、ぜひぜひ小説をおすすめします。読み終えて放心状態だったけど、あとがきに救われた。

東京の切り取りかたが、すごい好きだったのですが、ちゃんと根拠があって、うれしい。

後日、新海監督に取材&舞台挨拶に伺う機会があって、東京の描きかたについてはもっと理解が深まりました。

映画では、結構あたたかいものとして東京の風景が描かれているなと思ったんです(殺伐とかかっこいいとかキレイっていうよりあたたかい)。そのあたたかさの正体は小説にあったんだけど、監督が長野から上京したときは、東京って汚いなーと思ったそうで。でもそこで仕事するうちに、東京だから出会えて好きになったひとたちも増えてきて。そうなったとき、東京で生まれ育った誰かの身体を通して見た風景、に関心をもったそう。自分が見えてる風景とは違うかもと。自分の好きなひとたちが見えている景色なら、なんだか東京が好きになれた、みたいなことを仰ってました。

ちなみに小説は、脚本を書き終えてから執筆されたそうです。だから、原作ではなくノベライズ。わたしは監督自らのノベライズてすごい贅沢な産物だと思っています。西川美和監督が『ゆれる』を撮った後ノベライズしているのですが、行間を読むつくりの映画に対して、小説は登場人物の手記形式で、これはほんと、説得力があって、がつーんと衝撃だった。最後、思わぬ人の解説に救われた。こういう補完関係が成立しやすいので、原作小説とノベライズは、似てるけど、ちょっとアプローチが違うかなと思う。(とはいえ西川監督は自ら小説→映画というのもやっていて、それはそれでがっつり成立している)

『海よりもまだ深く』の是枝裕和監督とか、『ぐるりのこと』の橋口亮輔監督はノベライズされてる作品があるので、セットで堪能してみようと思います。

それから、監督のお話で、脚本後に小説を書いたことで、思った以上にキャラクターの理解が深まったと。それは、アフレコで役者さんにキャラを説明したり要望だしたりするとき、すごく役に立ったと仰っていて、なるほど、と思いました。

試写会が7月にあってから、公開が待ち遠しくて、ほんとうにそわそわしていて。先日、やっと2回目の鑑賞。冒頭から感情振り切れました。

個人的に甘酸っぱいキュンキュン映画、みたいな謳い文句はなんとなく違和感があって、どちらかというと切実さからこみ上げる涙がだったので。瞬発力のあるキュンキュンだったら俄然『黒崎くんの言いなりになんてならない』に軍配が上がるかと。make my dayが流れるたびテンションアップしたあの日。

いまさらですが、見る前にあらすじ読んだときは、個人的にひかれるものがほとんどなくて。あらすじで魅力が伝わらない名作映画ってあると思うんですが、高岡奏輔さん×田畑智子さんの『さんかく』と、エドワード・ノートン×ナオミ・ワッツの『ペインテッド・ヴェール』に、『君の名は。』を加えたいと思います。

都会も田舎もどちらも正しくひとの住むところ。ひとりひとりの暮らしの集合体がその景色をつくっている。幻想も絶望もあるけど、救いだってある。それぞれの切実さが、ものすごい熱量を生んだのかなと、思っています。